AIの普及にともない、タクシー運転手の仕事がなくなるのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、タクシー業界で実際に活用されているAIシステムと、その役割について詳しく紹介します。また、AIの普及がタクシー運転手の需要に与える影響についても解説します。
タクシー業界で普及しているAI

タクシー業界には、AIテクノロジーを活用したさまざまなサービスが導入されています。これらのAIシステムは、タクシー運転手の業務を完全に代替するものではなく、むしろ効率的な営業をサポートし、売上向上を支援する役割を果たしています。
NTTドコモ|AIタクシー
2018年2月からNTTドコモが提供していた「AIタクシー」は、携帯電話ネットワークを活用して人の流れを予測し、需要の高いエリアをリアルタイムで運転手に知らせるシステムでした。このサービスにより、運転手は効率的に乗客を見つけることができ、売上向上に貢献していました。
しかし、このサービスは2022年6月にサービスを終了しています。
主な理由はGO・Uber・S.RIDE・DiDiといった配車アプリの普及によるものです。スマートフォンの普及にともない、利用者が直接タクシーを呼べる配車アプリが一般的になったことで、需要予測サービスの必要性が低下したためです。
ソニー|AIを活用したタクシー需要予測サービス
ソニーはAIを活用したタクシー需要予測サービスを開発、さまざまなタクシー会社が導入しています。これは、運転手向けのタブレットアプリで、過去の走行データを分析して需要の高いスポットを特定するというものです。さらに、鉄道の遅延情報やイベントの終了時刻、天気予測などのデータもリアルタイムで表示できる機能を備えています。効率的な配車によって、乗客の待ち時間短縮やドライバーの売上向上が期待されています。
需要情報をリアルタイムで把握することができるため、運転手は効率的な営業に役立てることができます。
KDDI×WILLER|mobi
KDDI総合研究所が開発したmobiは、乗り合い型のAIオンデマンド交通システムです。このアプリは、乗客がスマートフォンで予約すると、AIが自動的に最適な走行経路を計算してタクシーに表示する仕組みを持っています。
特に注目すべき点は、複数の乗客が相乗りする場合でも、AIが瞬時に最適な経路を算出できることです。これにより、運転手は効率的な運行が可能になり、また乗客にとっても利便性の高い新しい交通手段として期待されています。
AIの普及でタクシーの需要はなくならない?

現状のAI活用は主に配車システムや需要予測などのサポート機能に限られており、実際の運転操作は従来通り熟練の運転手が担っています。
自動運転技術の実用化には、まだまだ多くの課題が残されています。特にタクシー業界において完全自動運転を導入するには、安全性の確保や事故時の責任の所在、道路交通法などの法整備が必要不可欠です。
また、予期せぬ道路状況や天候の変化への対応など、AIだけでは判断が難しい場面も数多く存在します。
さらに重要な点として、タクシーサービスには人による対応が欠かせない要素が多くあります。例えば、高齢者や障がいをお持ちの方の乗降のサポート、大きな荷物の積み下ろしの補助、観光客への道案内や地域情報の提供など、これらはすべて運転手によるきめ細かなサービスです。
このように、AIは運転手の業務を支援する存在であり、完全に代替するものではありません。むしろ、AIとの協調によって、より効率的で質の高いサービスを提供できる環境が整いつつあるといえるでしょう。
まとめ
AIと人間それぞれの強みを活かした、新しい時代のタクシーサービスの動向について解説しました。
タクシー業界におけるAIの活用は、運転手の仕事を奪うものではなく、むしろ業務効率を高めるサポートツールとして発展しています。
タクシー運転手を目指している方や、現役の運転手の方は、AIを味方につけることで、より効率的で質の高いサービスを提供できるでしょう。
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